絵本 にんげんさまへ

間中ムーチョ(絵・文)
サイズ:A4判
ページ数:42ページ
出版社:株式会社素敬 SOKEIパブリッシング

「にんげんさまは あぶねぇと にげられるけんどもよ 
   おれたち山はにげらんねぇぞ
    おれたち山はどうしたらいいんだべか?」

人災事故によって汚染され、生命の危機に瀕する山。山は嘆き、悲しみ、人間に語りかけます。

「これからおれたち どうしたらいいんだべか? にんげんさまよぉ おしえてくんちょ」
山からの問いかけに、人間はどのように答えたらいいのでしょうか。そしてまた、人間は本当に逃げられるのでしょうか。
山の身になって、山の目線で、世界を、暮らしを、見なおしてみませんか。

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『にんげんさまへ』に寄せて 間中ムーチョ

『にんげんさまへ』を描かなかったら、私は気が狂っていたと思う。この絵本を描くことによって、私は山になり、海になり、土になって、自分を保ち続けることができた。同時にそれは、山や海、土たちに抱いた罪悪感に向き合うことでもあった。苦しかった。今もまだ苦しい。山の声を人々に届けたいと思って描きはじめたけれど、それは傲慢だったと反省している。私も一人の人間なのだから。

『にんげんさまへ』を読んで、山や海や土たちや、地球や、暮らしについて、みんなでお喋りしてもらいたい。そのときは、あなたの言葉で、あなたの思いを伝えてほしい。みんなで考え、みんなで思いを語り合い、みんなの言葉に耳を傾ける、そういう場をつくるきっかけになれば、とても嬉しい。

東日本大震災の原発事故後に移住した絵本作家の経験と想いから、この絵本は生まれた。「人間は逃げられるけれど、山や土や海は逃げられない」という後ろめたさ、「どこへいっても逃げることのできない」苦しみ、そしてなにより、「山や土や海たちの思いを代弁したい」という熱意に溢れている。山からの問いかけに、人間は簡単に答えを出すことはできない。しかし、もう一度知らなくてはならない。山や土や海たちの愛と赦しのなかでしか、人間は生きられないということを。2019年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選作。

間中ムーチョ
絵本作家、アーティスト。1970年生まれ。茨城県出身。セツ・モードセミナー卒。女児玩具デザイナーなどを経て、アーティスト活動を開始。東日本大震災で起きた原発事故後、茨城の自宅の庭に咲く水仙やタンポポなどが、事故前とは違う形に変化したのに気づく。人間の出すデータや情報ではなく、植物達が身をもって「ここはもう、以前とは違うんだよ」と教えてくれたメッセージに従い、避難を決意。京都へ移住し、現在は神戸在住。今も植物達から勇気をもらい、創作活動に生かしている。本書『にんげんさまへ』は、2019年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展に入選した”MOUNTAIN”をベースに、原発事故で汚染されたままになっている故郷の山、海、土への思いを描き上げた。

[受賞歴]
2011 有田川町絵本コンクール 第1回 佳作 『みかんかんかん』、アイヌ文化振興・研究推進機構 平成23年度「幼児向け絵本」原作募集絵本コンクール入選『ミッポのミホ』/2012アイヌ文化振興・研究推進機構 平成24年度「幼児向け絵本」原作募集絵本コンクール 奨励賞 『ウサギとトド』/2013アイヌ文化振興・研究推進機構 平成25年度「幼児向け絵本」原作募集絵本コンクール 奨励賞 『コタンにおいで』/2017有田川町絵本コンクール 最優秀賞 『ぬかどこさま』、アイヌ文化振興・研究推進機構 平成28年度「幼児向け絵本」原作募集絵本コンクール入選 『ウポポ ウポポ』/2019イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選 ”MOUNTAIN”
販売価格 1,800円(税込1,980円)
定価 1,980円(税込2,178円)

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